お見合いの達人
「見てもらう方が早いよね?」


連れて行かれたのは、

だだっ広い牧場。


ぽつりと建つ赤い屋根の平屋。

え?

ホントにここは日本?

ハイジのいるスイス?

まさかあれが家?

呆然とするあたしに、

弟の方がくくくっと笑って

「まさかあれが俺等の家だと思ってる?」

「あ、ええと……」

「あれはヤギの小屋。

 ここはヤギの牧場」

「ヤギですか?」

ヤギと言えばハイジとペーター。

脳内でらりほーな歌がまわってる。

「おいで。」

差し出された手は現実味無くて、

思わず握ってしまう。

草の上を渡る風は、

体験したことのない

夢心地みたいなものを感じさせていた。








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