佐藤さんは甘くないっ!

そんな馨を見ているのは嫌だった。

馨はいつだって無表情で無愛想で、それから怒りっぽい。

だけど今の馨は、それとも違う。

無理して仕事以外のことを考えないようにしているみたいだった。


「ねー星川、今日飲みに行かない?」

「宇佐野!お前とはライバルだからな!飲みに行ってやっても良いけど、勘違いするなよ!」


星川は何故か僕のことをやたらとライバル視していて面白かった。

あほ可愛いって感じで。

何度も飲みに行ったし、仕事についても語り合った。

僕はあんまり熱くなったりするの好きじゃないんだけど、星川と話していると自然と熱が上がってきて楽しかった。

だけど星川も頭の切れる奴だったから、すぐに昇進して、第二部署に異動になってしまった。

いつもの四人も解散になって、つまらない日々をただ過ごす。

最上と馨が付き合い出して半年と少し経った頃、最上のアメリカ支社行きが噂され始めた。

真意を確かめると、最上は悲しそうな顔で頷いた。

馨と別れたことにはなんとなく気付いていて、だけど当の本人は全然気にしていないようだった。

ただビジネスパートナーの最上がアメリカ支社に行くことは、嬉しい反面少し寂しそうだった。

あくまでも仕事上の付き合いで、だけど。
< 284 / 291 >

この作品をシェア

pagetop