佐藤さんは甘くないっ!

暫しの沈黙。

先に口を開いたのは馨だった。


「……だっせぇ」

「うわー!酷いこと言った!!僕だって思ってるよ!解ってるから言わないでよ!」

「五年以上も同棲しておいて、お前が早く言わなかったからだな」


真っ当すぎる言葉がぐさぐさと胸に刺さる。

やっぱり笑われたし……余計に心の傷が広がったんだけど。

自業自得だって解ってるんだよね、だけど、さ。


「だってさ……タイミング、見失うんだよね。もう結婚してるみたいな気がして」

「それでもいつか言わなきゃいけねぇだろ」

「そのタイミングを探してたら……向こうから言われちゃったんだよね……はぁ」


とうとう堪えきれなくなったように馨が噴き出して笑ったので、ムカついて一発殴り返しておいた。

まぁ、言われちゃったものは仕方ないからね。

さっきの落ち込みようから一転した僕の表情を見て、馨もにやりと口角を上げた。


「宇佐野はそうじゃないとな」

「どういう意味だよ、それ」


女の子から言わせるなんてこと、させたくなかったのにさ。

言わせちゃったのは僕の落ち度だからしっかり挽回させてもらうよ。

とびっきりのプロポーズ、計画しないとなぁ。


「僕と馨、結婚するのはどっちが先だろうね」

「お前な気がするけどな、両親公認だし。早く郁巳の家に挨拶行きてぇな……」

「あはは、彼女の家に挨拶行きたいなんて言うの馨くらいじゃないの」

「そうか?あいつを育ててくれた親御さんなんだから、会うの楽しみだけどな」


……馨のそういうところ、本当にかっこいいよね。

あー、僕も負けてられないなぁ。


「頑張れよ、宇佐野」

「どーも。馨もね」


さて、帰ったらレストランの予約しないとね。

こういうのは早い方が良いし、週末には決行しなくちゃ。

……結婚、か。

ずっと考えてはいたけど、いざプロポーズをするとなると緊張する。

彼女は喜んでくれるかな。

馨の付き添いで行ったとき、実はこっそり僕もエンゲージリングを作ったなんて話したら、笑うかな。



...fin.(20150905)
< 291 / 291 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:176

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

春は来ないと、彼が言った。
天栞/著

総文字数/62,185

恋愛(学園)243ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
次にどの季節が巡って来るのか それは誰にもわからない そんな世界で生きる 春に想いを託したわたしと 春は来ない、と言った彼の 少し不思議な恋の話 fin.→May.9th 素敵すぎるレビュー \ありがとうございました!!/
真夏の残骸
天栞/著

総文字数/20,346

恋愛(キケン・ダーク)75ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
―――そこに、感情はなかった。 ただ、蝉の鳴き声が煩くて。 ただ、ただ、無言で見つめ合って。 ただ、ただ、ただ、唇を重ねた。 夏の過ちと、気付いてしまった感情。 ...fin.→Aug.30th
ノンシュガー・ノンビター【VD中編】
天栞/著

総文字数/31,107

恋愛(ラブコメ)97ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
* * * * * * * * 初めて買ったのは 他でもない君への 本命チョコレート 俺からの逆チョコ 受け取ってくれ! * * * * * * * * fin.→Mar.7th 後日談追加→Mar.19th タイトル変更しました!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop