佐藤さんは甘くないっ!
呆れ半分、引き攣り半分のような顔をしていると、思い出したように馨が話題を変えてきた。
手元のビールはお互い何杯目かもう覚えていない。
「そういえば、お前はどうするんだ?」
「いきなり何の話?」
「結婚だよ。もう長い付き合いだろ」
……突然のブーメラン。
馨は結婚どうするの、なんてもう聞きにくくなった。
表情を硬くした僕を見て馨は神妙そうな顔をした。
「しないのか?俺は今すぐにでもしたいくらいだ」
「馨は初めから結婚が前提だったしね……。僕は、うーん」
「お前は誠実で真面目な奴だから、迷う理由なんて無いだろ」
さりげなく嬉しいことを言ってくれる。
自分ではよく解らないけど……馨が言ってくれるとそんな気がするから。
「いやー…なんていうか」
「プロポーズは?」
「うーん」
「どうしてそこで歯切れが悪くなるんだ」
……馨になら話せる、けど。
正直、男としてどうかなと自分でも思ってるから。
ちょっと言いにくいというか……うん……。
「……絶対に笑わないでよ」
「お、おう」
珍しく真顔で目を合わせると、馨は少し驚いたような顔で頷いた。
これだけ釘を刺しても絶対に笑われるけど……それでも一応言っておかなくちゃと思った。
「三日くらい前かな……ついに馨が柴ちゃんにプロポーズしたって話をしたらさ……“じゃあわたしたちも結婚しよっか”って……言われちゃったんだよね……」