Queen of the Night
「あぁ。そうだ。だからいつまでもここにないで。」


父はまるでここから出られるようなことを言った。


『でもあたしは氷の中に封じられてるの。ここから出られるわけ…』


あたしがそう言うと、母は首を横に振る。


「いいえ。出られるわ。」


母の言葉に驚く。


『そんな、どうやって?』


「あなたの強い思いがあれば、あなたを覆っている氷は砕ける。」


強い思い。
あたしにそう言った母。


「リディア、お前なら大丈夫だ。
俺たちは信じている。」


父は愛おしそうにあたしの頬を撫でる。


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