Caught by …
「ごめんなさい。最近、寝不足で疲れてて…なんてただの言い訳にしかならないし、カフェでだって私…今日は本当にごめんなさい」

 私の口は器用に動いて、自分でも驚く。けれど、さすがに顔は上げられなかった。再び感情が表に出ないように抑え込むので精一杯だった。

「もう、こんなことしないから、ごめんなさい」

「謝らなくていいよ!自分を責めないで?僕は君のこと、大事に思ってる…愛してる…だから謝らないで。君の全部を受けとめるから」

 頭の後ろに温かい手が置かれて、その手が優しく彼の胸の方へ引き寄せた。

「……ありがとう」

「僕はいつでも君の側にいるから、ね?」

 安心させる為に頭を撫でてくれるトムに見つからないよう、目に溜まった涙を拭き取った。

「もっと甘えて、頼ってほしい。嬉しいことも辛いことも、一緒に感じていたい。笑うのも、泣くのも一緒に」

 回された腕に力が込められて、私が頭を彼の胸にもたれさせるとトムは私の肩に顔を埋めた。

「僕には君だけ居ればいい。君以外に求めるものなんてない。ずっと、一緒に居たい。君も、そう思っていてほしい…って、我が儘かな」

 彼の弱気な所に触れた気がして顔を上げると、彼も私の肩から顔を上げて二人の目が合う。

「本当は不安なんだ。君を信じていない訳じゃない、でも僕達は親の勧めで付き合ったようなものだから、僕の気持ちと君の気持ちが実は違うんじゃないかって」

 私は首を横に振り、トムの左頬に手を添える。その上に彼の手が重なって、私達は目を閉じてキスをした。
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