Caught by …
 静かな朝に、雲の合間から陽の光が差し込む。

 求め合う二人の息が荒々しく絡まる。

 ベッドに座る彼の膝の上に跨がり、激しく熱い口付けに溺れる。

「セシーリア…っ」

 彼に名前を呼ばれると、それだけで自分の名前が特別なものだと思える。

「セシーリア、俺の名前を呼べ」

 一度唇が離れて、彼が言った…のに、またキスをする。

 頭の後ろ側を手で押さえられている私は、彼が離れてくれるまで何もできない。暫くして、やっと解放されて荒れる息を整える。それを熱っぽい眼差しで見つめる彼が、どうしようもなく愛おしく、今度は私から軽いキスを落とした。

「レイ」

 彼の髪を梳かすと、くすぐったそうに顔をしかめたけれど、私の手を拒否する事はなかった。

「あなたの髪はサラサラで綺麗ね」

「…そうか」

「レイ?」

 何故か少し悲しそうに伏せられた目。気になって顔を覗き込もうとしたら、いきなり下唇を啄まれて驚く私に、彼はイタズラな顔で笑った。

「もう、からかわないでよ!」

 その笑顔にドキドキしているけど、ちょっと怒った顔をしてそっぽを向く。

「セシーリア、こっち向けよ」

 いつだって優しい言い方をしない彼。それなのに、私は彼の言う通りに顔を向ける。

「セシーリア、まだ…なんだよな」

 彼らしくなく、はっきりしない言葉に私は首を傾げる。

「昨日の事だ。…だから、昨日、トムと一緒だったんだろ?彼と寝たのかって聞いてる」
< 60 / 150 >

この作品をシェア

pagetop