Caught by …
 その内、レイの手が服の裾あたりを触り始め、中へと入り込んだ。

 僅かに残っていた理性が、午後からの授業のことを思い出させて彼から口を離すと、二人の唾液が糸のようになって繋がったままぶら下がる。

「だめよ、レイ…授業があるから、これ以上は、だ、だめっ」

「そんな顔をして言っても、俺を煽っているようにしか聞こえないぞ」

 服の中でまさぐる手に反応する私を見て満足げなレイを睨んでも、彼には敵わない。

「そんな反応されると益々止まらなくなる」

 服を捲し上げられ、彼の手がブラのホックへと移ると意図も簡単にそれを外された。

 急に締め付けるものがなくなって、代わりに彼の手が胸を覆う。

「口では駄目なんて言いながら、体は正直だな」

 意地悪く焦らすように触れる指に体が火照る。息も上がって、声が出るのを抑えようと手で口を押さえる。

 だけど、彼は胸の突起を優しく摘まんで鎖骨辺りにキスをしたり甘噛をしたりして、その度に感じる私の反応を試すから、どうしても声が漏れてしまう。

「レイ…だめ、ほんとに、もうっ」

「イキそう?」

 あの夜と同じ感覚に、私は頷いて彼の首にしがみつく。動悸がして、熱いものが込み上げ、手に力が入ってレイの肌に爪が食い込む。

「…レイっ」

 間もなく体の奥が痙攣し始めて、力なく彼に寄りかかった。

 頭を撫でる大きな手。

 肩で息をする私。

 夢の中のような心地よさにうっとりする。

 現実かどうか確かめたくなって、彼の名前を呼ぶと、ぶっきらぼうな「なんだ」の一言が返ってきた。紛れもない現実だ。
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