黄昏に香る音色 2
「志乃ちゃん…びしょ濡れだよ…」

香里奈は、志乃の手を掴み、家に入れようとする。

が、

志乃は、その手を、振りほどいた。

その行動に驚いて、戸惑う香里奈に、

志乃は、視線を外し、呟いた。

「こんな…家に入りたくない…」

志乃は、唇を噛み締めた。

雨が…志乃の髪から、頬を伝い、滴り落ちる。

香里奈には、何が何なのかわからない。

「どおしたの…」

志乃は、香里奈に視線を戻す。

「あたしは…」

言葉が出ない。

躊躇いが表情から、わかる。

「香里奈ちゃん…」

志乃は、香里奈を見据えた。

「あたし…あんたは、好きよ…妹みたいに思ってる」


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