黄昏に香る音色 2
木漏れ日と夕焼け
遠くで、夕陽が沈んでいく。

香里奈は、最後の照り返しを、眩しそうに見つめながら、

最後のフレーズを、歌い終わろうとしていた。

啓介が去ったステージは、次のバンドの準備をしていた。

人々の笑顔と歓声…。

そして、

拍手の中、

香里奈は、深々と頭を下げた。

今までの人生で、

これ程、人に喜ばれたことを、自分は…したことがあっただろうか。

ドラムが、最後のフレーズを叩いた。

「ありがとー!」

香里奈は、心の底からの感謝の気持ちを叫んだ。

思い切り手を振りながら、香里奈はステージを降りた。

また戻ってこよう。

香里奈は、そう決意した。






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