黄昏に香る音色 2
「本当に…よかったわ」

優は大袈裟に胸の前で、祈るように両手をあわせ、

「愛する人への思いが溢れていて…本当に…演技だなんて…」

優は一転して、

「思わなかったわ…」

里緒菜を軽く睨んだ。

「え…」

表情の急な変化に、戸惑う里緒菜に…

優は近づき、耳元で囁いた。

「みっともない」

優はそのまま、

里緒菜の横を通り過ぎた。

絶句する里緒菜。

すぐに、はっとして、里緒菜は、優の姿を追った。

優は、トイレのすぐに隣の教室に消えていった。

チャイムが、学校中に響き渡り、今日の始まりを告げる。

里緒菜は少し、その場に立ち尽くしてしまった。
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