黄昏に香る音色 2
ハウス イン ザ ダーク
静かな音が、流れていた。

神秘的で、チープでありながら…深い。

ラリー・ハードのSceneries Not Songs

いわゆるハウス・ミュージックの名盤。

かつて、EW&FやP-FUNK…
ファンクミュージックの全盛期。

あまりにも、大人数で、コスト面もかかるファンクミュージックを低予算で、1人でもやろうとしたのが、

ハウスミュージックといわれている。

ファンクやジャズのような生音ではないが…

これも、紛れもなく

ブラックミュージックだ。

午前3時…。

お客さんもはけたので、
店を閉め、里美は、1人

カウンターで、音楽を聴いていた。

(フゥ…)

深いため息をつくと、タバコに火をつけた。

いつから、タバコを吸うようになったのかは…覚えてない。

多分…

結婚し…離婚する間。

ダブルケイで働く頃には、タバコを吸っていた。

明日香に、怒られた記憶がある。

香里奈がまだ、小さかったから…極力、本数は減らすようにした。

今は、この閉店後しか吸わない。

漂う煙に、

ハウスミュージック…。

チープな音。

本物のミュージシャンになれなかった…

(あたしにぴったりな音)

でも、深い音…。
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