黄昏に香る音色 2
「それも…素人では無理…気付かないわ。音楽をわかる者でないと…」

里美の言葉に、香里奈は唾を飲み込んだ。

「まさか…」

「そう…あいつらよ」

「そんな…」

「神の啓示…いきなり、人を襲うも…この前の騒動を思い出すわ」

「音のドラッグ…」

里美は、CDを閉まった。

「気をつけなさい…香里奈。あいつらはまだ、捕まってないわ」

香里奈は、クリスティーナ・ジョーンズのCDを手に取った。

「でも…今回のは…前と少し違うように感じる」

里美は、タバコに火をつけた。

CDを見つめる香里奈を見つめながら、里美は、

「パーフェクト・ボイス…これが、彼らの手によるものなら…」

タバコを吹かす。

香里奈はCDから、顔を上げた。

「前とは…まったく違うレベルで、何かしょうとしてるわね」

「違う…何か…?」

香里奈は、里美を見た。

「それは…わからないわ」

里美は肩をすくねた。

香里奈は、身を震わせた。


「だけど…もしかしたら…」

里美はタバコを、灰皿に置いた。

「もしかしたら…」

「明日香なら…つかんでるかもしれないけど…」

里美は、漂う煙を見つめた。

「ママ…」

香里奈は、明日香を想った。



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