黄昏に香る音色 2

プロローグ3 見えた世界

「どう?ジュリア…」

顔に巻かれた包帯が、ゆっくりと、外されてくる。

すべてが外れた後…

ジュリアはゆっくりと、

目を開けた。

部屋を照らす…

明かりが眩しすぎる。

思わず、

目をつぶるジュリア。

「痛い?」

ジュリアは、首を横に振り、

「大丈夫…お姉様」

ジュリアは、もう一度…目を開けた。

最初は、焦点が合っていなかったが…。

やがて、

視界は鮮明になる。

瞳が、ティアを映した。

「お姉様…綺麗…」

ジュリアは、ティアの顔を見て、思わず…つぶやいた。

「ジュリア!有り難う…あなたも綺麗よ…」

ティアは、ジュリアを抱きしめると、

手鏡を手に取り、

ジュリアの顔を映した。

「これが…あたし…」

黒い大きな瞳。

それが、最初の印象だった。

この瞳は、提供者のものだった。

「立ってごらんなさい」

体も軽かった。

部屋を歩いてみる。

椅子などを、自分で避けることができる。

ある程度、歩くと、

ジュリアは、胸を押さえた。

心臓も、

もらった。

ジュリアは、生まれ変わったのだ。
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