黄昏に香る音色 2
「お久しぶりです。有沢先生」

志乃は、レコーディング・スタジオの廊下で、電話をしていた。

「先生に、折り入ってお話がありまして…」

志乃の切り出した話に、里美は驚いた。

「悪い話だとは、思いませんが…。速水先生が戻って来られますし…それに…」






志乃の電話を切った後、

里美は、ステージを見つめた。


明日香や香里奈だけでなく、


あたしも、あのステージで、


初めてドラムを叩いた。


あたしもダブルケイの子供だ。


里美は、ステージに向かって、歩き出した。


そして、


久々にスティックを握った。
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