黄昏に香る音色 2
家を出ると、玄関の門の前に、和也がいた。

「いいのか?」

「うん」

里緒菜は頷いた。

「うちとしては、助かるけど…」

最近、軌道に乗ってきた律子の店を、

里緒菜は、手伝うことになる。

「住むことは?店の二階は…もう…」

「大丈夫。ちゃんとあるから…」


里緒菜の決意をきいていた直樹は、香里奈に打ち明けていた。

モノレールで、帰ってる時に。

香里奈は、電車を降りると、すぐに電話した。


香里奈は、啓介と明日香に事情を説明して、

あまり使ってない

もと恵子のマンションに、里緒菜が住むことの了承を得た。

明日香は、最初悩んだが…何かあったら、自分が責任を取る覚悟を、決めた。

そんなことより、里緒菜の決断を応援してあげたかった。



「え?里美おばさんが帰ってきてるの!」

そして、

明日香と啓介は、

近い内に

また音楽を伝える為、世界中を回ることになることを、

香里奈に告げた。

「嫌じゃないよ…寂しいけど…。やっぱり!ママとパパは、その方が似合っている」

香里奈は嬉しそうに、電話口で微笑んでいた。

その様子を見守る直樹も、微笑んでいた。
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