黄昏に香る音色 2
「早く!」

どこか知らない道。

そんな道も、迷うことはなかった。

もう1人ではないから。


前を歩く太陽に、直樹は目を細めた。

(彼女は太陽です。例え…沈んでいるときがあっても)

なぜなら…

(太陽は沈んでいても、輝きをやめることなんて、できないから…)

直樹は、自分が闇だと思っていた。

でも、そんな自分を…太陽はずっと照らしてくれた。

そんな太陽がそばにいれば、どこにいてももう…迷う事はない。

「愛しています」

思わず…声が出た。

しまったと思ったが、

太陽は振り向いてこう言った。

「あたしも!」


直樹は今、輝いていた。

それを、自分でも実感できた。

愛することは、

自分も、相手も、

輝かせるんだ。

直樹は、自分が…太陽になっていることに気づいた。

人は誰でも、太陽になれるんだ。

「ありがとう」

直樹は笑顔で答えた。
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