黄昏に香る音色 2
高校の時、時祭光太郎から貰ったお金で、

和也はモデルだけでなく、デザイン事務所をおこした。

それとともに、律子の店(可憐)の営業と宣伝に、力を入れた。

あれから、3年。

和也と里緒菜は、同じ大学に通いながら、

これらの事業を続けた。

同じ大学の方が、授業やレポートなどを分担できた。

それも、もうすぐ卒業である。

「これなんて、いいんじゃない」

一枚のデザイン画を、手に取る里緒菜。

和也は、感嘆していた。

これらの事業をまとめ、仕切ってきたのは、里緒菜だった。

(大したものだ)

和也は、里緒菜を見つめてしまう。

「ねえ?よくない」

里緒菜は、和也を見たけど…和也はデザイン画より、里緒菜に見惚れていた。

「どうしたの?あなた」

里緒菜は、和也の顔を覗き込んだ。

「あっ、ごめん」

和也は、我に返った。

「もお〜ぼおっとしない」

里緒菜は、頬を膨らませた。


2年前。

18歳の時に、2人は結婚していた。

駆け落ちに近かった。

里緒菜の両親には、反対されたが、2人は席を入れた。
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