黄昏に香る音色 2
「やっと軌道に乗ってきたんだから…慎重に選ばないと」

1枚1枚を、真剣に選ぶ里緒菜を、

頼もしく、愛しく

和也は感じていた。

何も言わない夫に、

「カズくん。真剣にやってちょうだい」

和也は苦笑すると、

里緒菜に近づき、

頬に口づけをした。

「里緒菜」

「何よ」

いきなりで、少し恥ずかしそうに、里緒菜は和也を軽く睨んだ。

「大学卒業したら…母さんと3人で、旅行でも行こうか」

和也の提案に、

「店はどうするのよ」

「ここ3年間、働きぱなしだぜ。少し骨休みしても、罰は当たらないさ」

少し里緒菜は考え込むと、

今度は、里緒菜から和也に軽くキスをした。

「その代わり。卒業したら、全力だからね」

和也は肩をすくめ、

「怖い奥さんを貰ってしまった」

「後悔してる?」

里緒菜は、和也にきいた。

「いや」

和也はまたキスをし、里緒菜を抱きしめた。

「卒業したら…今以上に頑張るから…」

「頑張るから…何?」

里緒菜も抱きしめる。


「お前の子がほしい…」

2人は、ぎゅっと抱き締め合い…深くキスをした。

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