黄昏に香る音色 2
街角のBAR。

街の中心部から離れた、雑居ビルの中にあった。

名前はorange lady。

一階に美容院。

二階には服屋や、アクセサリーショップが並び、

その一角にorange ladyはあった。

昼間はカフェ、夜はBAR。

カウンターの中で、直樹はグラスを洗っていた。

扉が音をたてて、開いた。

「いらっしゃいませ」

orange ladyの中に入ってきたのは、

天城志乃だった。

黒で、ラメが入ったTシャツを着、下はデニムとラフな格好だ。

まだ7時半。

奥のテーブルに、二組のカップルがいるだけだった。

店内を見回すと、志乃はカウンターに座った。

志乃に気づき、カップルが騒めいている。

「いらっしゃいませ」

直樹は頭を下げると、志乃の前に、コースターを置いた。

志乃は一言、

「ビール」

直樹はサーバーから、ビールを注いだ。

コースターの上に置かれたビールを手にとり、

志乃は一口ビールを飲んだ。


< 94 / 539 >

この作品をシェア

pagetop