天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
鎮魂
「あり得ないだろ!」

ヘリコプターが三機…上空を飛び回っていた。

その下にあるはずの原子力発電所がない。跡形もなく消えているのだ。

「本当に…ここなのか?」

乗務員が、疑心暗鬼に陥りそうになった時。



突然、何もない空間から…空と木々の間から、何かが飛び出してきた。

「何だ?」

ヘリコプターを追い越した物体は、上空で白い翼を広げた。

「何?」

思わず、ヘリコプターの側面のドアを開けて、顔出した乗務員は、上を見上げ…絶句した。


「て、天使……?」





地上から、一気に結界を突き破り、上空へと飛翔したアルテミアは、

眼下に広がる…発電所が存在しない空間を見つめながら、

「時間がない!一気に決める!」

雲一つない晴天に、両手と翼を広げた。

「モード・チェンジ!」



「どうした?」

アルテミアが叫んだ瞬間、三機のヘリコプターが散開し、アルテミアの姿をとらえようとした。

しかし…。




「な、何だ!」

ヘリコプターは、突然揺れだした。操縦桿が、とられたのだ。

「見えない!」



アルテミアの叫びに呼応して…全世界…いや、昼間だった世界が、いきなり夜になった。

太陽が、照らす部分がない。地球は、真っ暗になったのだ。



気象観測所は、いきなり太陽の輝きがなくなったことに、気付いた。

「あり得ない!」





「何が起こった!と、突然夜だとお!?」

パニックになりながらも、一応は訓練されたレスキュー隊員である。とっさに、電気をつけた。

すると、今度は眩しさに、目を細めた。

「こ、今度は…」

太陽と同じ輝きが、目の前に現れ……落下していく。

そして、その落下する物体が、またいきなり消えると、しばらくして…真上の…太陽が、また輝き出した。

夜が終わった。

「何だったのだ…」

全世界の人々が、日食でもない…突然の夜に、ただ唖然としてしまった。



「まるで…太陽のエネルギーがすべて…吸い取られたような…」

気象観測所の職員は、信じられない現象に、その場で崩れ落ちた。

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