天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「天空の女神…」

結界を突き破り…そして、再び戻ってきた時……雷雲の下に、太陽が出現した。

発電所の周りにいたものは、その眩しさに、目を開けておけなかった。

サラだけが、その動きをとらえていた。

太陽は、地上に着地する時には、消えていた。

「アルテミア」


太陽が落ちた場所に立つ…白き鎧を身に纏ったアルテミア。

シャイニングモード。

太陽の力を得たアルテミアの最終形態。

「サラ…か?」

アルテミアは、目の前にいるサラを認めた。

角の数…魔力が違う。

「合体したのか…」


サラは、アルテミアに向けて頭を下げた。

そして、サラの前に立つ…綾子。

綾子はアルテミアに振り向くと、一目散に襲い掛かっていた。

全身が燃えており、皮膚の下で、溶岩のように熱い物体が、脈打っていた。


その姿を見た瞬間、アルテミアは確信した。

(助からない…爆発する)


「よくも、お兄ちゃんを!たぶらかしたな!」

綾子の吐く息も、熱風である。声色は、綾子に戻っていた。

アルテミアは目をつぶった。

(赤星…)

赤星の反応がない。

どうやら、気を失っているようだ。


「すまない…」

アルテミアも走った。

すると、2つの物体が飛んできて、アルテミアはそれを掴むと、一瞬で剣になった。

シャイニングソード。

「お前が、お兄ちゃんを!」

綾子と、アルテミアが交差する。



「お兄ちゃんを……」

綾子の体から、熱が消えた。

アルテミアが持ったシャイニングソードが、赤く燃えている。

しかし…すぐに、もとの純白の剣に戻る。


そして…魔力を失った綾子の体は、砂のように朽ち果てていった。



「なるほど…テラの力を吸収したのか…」

サラの口から、ギラの声がした。

「太陽の力を吸収できるのだ…あれくらい」

サラがこたえた。

「これでいい…これで、いいのだ」

バイラの声は、笑っていた。

灰のように化した…綾子の体が…風に乗って消えていく。

アルテミアは目をつぶり…その様子を、決して見ようとはしなかった。



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