天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「僕を助けてくれたのですか?」

僕は、振り返らない背中に問い掛けた。



少しの間があって、リンネの肩が小刻みに、震えているのたがはっきりと、わかった。

「リンネ……さん?」

僕は、眉を寄せた。

「フフフ…」

リンネは、笑いを堪えていた。

そして、少しだけ…振り向いた。

「あなたは……」


「単なる……きまぐれよ。あなたを助けたのは…」

リンネの切れ長の瞳は、僕を見てなかった。

口元にだけ…少しの笑みを浮かべ、

「ブルーワルードで会いましょう」

そう言うと、リンネは陽炎のように、消えた。




数キロ先まで、テレポートしたリンネは、沈む夕陽の最後の輝きを見つめながら、呟いた。




「女はきまぐれ…。だけど…きまぐれでないなら…それは、愛」

リンネは苦笑すると、夕陽に笑いかけた。

「そうよね……沙知絵…」


リンネは、沈む夕陽に呼応するかのように……この世界を後にした。



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