天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ふぅ…」
珍しく実家に戻っていた明菜は、近所にある赤星の家を、目指して歩いていた。
なぜか、蒸せるように暑かった。
その理由を、明菜はすぐに知ることとなる。
突然、蜃気楼のように、周りの景色が、歪んだ。
真夏と間違うような…じめじめした湿気が、明菜の肌に汗を呼んだ。
あまりの暑さの為に…明菜は一度、日が暮れたことを思い出した。
さっきまで、夕陽が空を照らしていたはずだ。
それなのに…昼間のように明るい。
明菜は、汗が目に入りそうなのを気にしながら、赤星家を目指す。
歩いて、2分くらいのはずなのに…遠く感じた。
赤星家の前に…誰かいた。
明菜は、目を細め…その人物を見つめた。
この暑さの中で、学ランを涼しげに着ている人物を…明菜は、すぐに誰かわかった。
「こうちゃん!」
思わず駆け出そうとする明菜を、僕は手で制した。
気のようなものが、明菜の走りを止めた。
「ごめん…今、体のセーブが効かないんだ…感情が溢れていて…」
明菜は、僕の横顔だけで…目が腫れていることに、気付いた。
「これ以上近づくと…危ない。何とか、結界を張ってるんだけど…」
僕の体から、薄く青白い炎が立ちこめているのが、明菜の肉眼でも、確認できた。
「こんな状態になると…わかるよ…。自分が、人間でないことに…」
「こうちゃん…」
僕の切なげな口調に、明菜は同じく…切なげに、僕を見た。
「明菜…」
僕は、泣きすぎて真っ赤になった顔を、明菜に向けた。隠すつもりはなかったから、満面の笑顔をつくった。
「僕は…もう帰るよ…。ブルーワルードに…」
僕は、空を見上げた。
「ブルーワルード…」
明菜は呟いた。
そして、僕の帰るという言葉に…胸が苦しくなった。
珍しく実家に戻っていた明菜は、近所にある赤星の家を、目指して歩いていた。
なぜか、蒸せるように暑かった。
その理由を、明菜はすぐに知ることとなる。
突然、蜃気楼のように、周りの景色が、歪んだ。
真夏と間違うような…じめじめした湿気が、明菜の肌に汗を呼んだ。
あまりの暑さの為に…明菜は一度、日が暮れたことを思い出した。
さっきまで、夕陽が空を照らしていたはずだ。
それなのに…昼間のように明るい。
明菜は、汗が目に入りそうなのを気にしながら、赤星家を目指す。
歩いて、2分くらいのはずなのに…遠く感じた。
赤星家の前に…誰かいた。
明菜は、目を細め…その人物を見つめた。
この暑さの中で、学ランを涼しげに着ている人物を…明菜は、すぐに誰かわかった。
「こうちゃん!」
思わず駆け出そうとする明菜を、僕は手で制した。
気のようなものが、明菜の走りを止めた。
「ごめん…今、体のセーブが効かないんだ…感情が溢れていて…」
明菜は、僕の横顔だけで…目が腫れていることに、気付いた。
「これ以上近づくと…危ない。何とか、結界を張ってるんだけど…」
僕の体から、薄く青白い炎が立ちこめているのが、明菜の肉眼でも、確認できた。
「こんな状態になると…わかるよ…。自分が、人間でないことに…」
「こうちゃん…」
僕の切なげな口調に、明菜は同じく…切なげに、僕を見た。
「明菜…」
僕は、泣きすぎて真っ赤になった顔を、明菜に向けた。隠すつもりはなかったから、満面の笑顔をつくった。
「僕は…もう帰るよ…。ブルーワルードに…」
僕は、空を見上げた。
「ブルーワルード…」
明菜は呟いた。
そして、僕の帰るという言葉に…胸が苦しくなった。