天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「武器を集め…人を殺すことで、人間ではなく…魔物になることが、できる」

フレアは、転がる死体を見回し、

「そして…もっとも、魔物になる近道は、岬に刺さった剣を抜くことだと…」


倒れている死体のそばに、数多くの剣や、ノコギリや棍棒などが落ちていた。

「魔物になっても生きたいと思ったもの達は…丘を越えて、戦ったわ」


「馬鹿ね…。魔物になんかなれないのにさ。なれるのは、ただの殺人者よ。人は、もともと残虐性を持ってるのに。まあ…」

ティフィンは、死体の上を飛び回り、

「魔獣因子が、あれば…なれたかもね。でも、この世界の人間では無理ね」

ティフィンは、肩をすくめた。

リョウは、前を向いた。遥か向こうに見える海。そのそばに、岬はある。

死体の数は、数え切れない。

「生き残っていた人々の五分の一は、亡くなったはずです」

フレアの言葉に、リョウは叫んだ。

「こ、こんなこと…僕は聞いてなかった!!」

フレアは、冷静に淡々と、言葉を続けた。

「あまりの…混乱に、管理局は戒厳令を引いたの。あたし達の村は外れだから、噂は回らなかったし……丘の様子を目撃したまともな人々は、口を閉じたわ」

フレアの言い方に、リョウは気付いた。


「フレアは………フレアは……知っていたの?」


フレアはゆっくりと、リョウに顔を向け、頷いた。

リョウは唖然し、


「だ、だ、だったら……どうして…どうして…」

リョウの目から、涙が溢れた。涙を拭わずに、フレアに詰め寄った。

「知っていたら、僕は来なかったのに!!」

僕の絶叫に、フレアは真剣な表情を向け、言い放った。

「あなたは、関係ないわ!あなたには、そんな噂。あなただけが…」

フレアは、リョウの瞳を見、

「真実なの」



フレアの口調は、同じ14歳とは思えなかった。

燃えるようなフレアの瞳に、リョウは息を飲んだ。



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