天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

本編序幕

「大気圏に入るぞ」

黄金の鎧に、六枚の翼を広げていたアルテミアは、翼を畳み、全身を覆うと、侵入角度を調節しながら、大気圏に突入した。

凄まじいスピードの摩擦熱な中……僕は戻ってきた。

戦いの時。自分のいるべき時に。


大気圏に突入している間は、アルテミアと話すことはできなかった。

僕は、必死に思い出していた。


時空をこえて、大気圏に突入したまでは…確かに記憶があった。



(そうだ……ここまでは…)

思い出そうと必死に、ピアスの中で考えていると、


「大気圏を抜けたぞ!」

アルテミアの安堵の声が、聞こえてきた。


その瞬間、僕は思い出した。

ほっとした僕の目の前に、あいつがいたのだ。



「お兄ちゃん…」



(綾子!)

アルテミアと体を交換していて、今は実体のない僕の目の前に、綾子がいたのだ。


「どうして…あたしを……助けてくれなかったの?」

綾子の全身が、血まみれになる。



(そうだ…俺は……綾子を見て…)

それは、刹那の時だった。

僕の心が、後悔と懺悔に苛まれた。

そう…普通なら、僕は負けたのだ。

だけど、今の僕には…フレアの願い…アルテミアの悔しさ…そして、ロバートやサーシャにリョウ…滅亡した人類の嘆きが、魂に染み込んでいた。

僕の心から、血の涙が流れた。

(そう……すべては、僕のせいだ!)

僕の心が、魂が、叫んだ。



「モード・チェンジ!」



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