天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「アルテミア……」

カレンは苦々しく、その名を口にした。

「…アートウッド」

ティアナの娘にして、魔王の血筋…天空の女神。



アルテミアをピュアハートで斬ることで、彼女の力を手にすれば…魔王と、戦えるはずである。

それに、アルテミアはアートウッドの血筋でもある。彼女の能力は、カレンに合うはずだった。

類い稀なる力と、才能を持ち…全人類の羨望の的だったティアナ。

彼女が、人類を裏切らなければ…アートウッド家は安泰だった。

(母さんも、あんなことにはならなかった)





病床で、母はカレンにこう言った。


「カレン。このピュアハートとカードを捨てて頂戴…。これは、呪われた武器…」


肌身離さず、つけていたペンダントを外し…母は、カレンに手渡した。

「これを…ティアナ姉さんから、預かっていたけど…あたしはもう…守れない」

「母さん…」

カレンの手の平に、ペンダントを置くと、そのまま、母は手を閉じさせ…その手を握り締めた。

「このペンダントは、絶対に捨てて頂戴……海の底や…誰も近づかないところに…」



しかし、カレンは捨てなかった。

自ら使用することにしたのだ。

もともと才能は、あったのだろう。

そして、アートウッド家特有の身体能力の高さが、ピュアハートの持ち主に相応しい戦士に、彼女を変えていった。

「アルテミアさえ…斬れば…」


魔王を倒せるはずだ。

カレンは、修羅の道を歩むことを覚悟していた。



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