天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
(これが、テラの)

テラの銃弾を受けながら、僕は空中に飛び上がった。

炎の翼を広げ、銃弾の勢いも利用しながら、天に浮かんだ僕は、両手で光の玉を集め、ぎゅうと凝縮すると、

手の平を合わせた時には、力を吸収していた。

「赤星、大丈夫か?」

まだ吸収する技を使いこなせていない僕は、最初は体に受けてしまう。

直撃を食らった僕を、心配そうに、アルテミアがきいた。

「何とか…」

僕は血まみれになっている胸を、指先で拭った。



「赤星!」

眼下に、海岸で1人立ちすくむ美奈子が遠ざかって行く。

美奈子は、天に浮かぶ僕に向けて、何度も引き金を弾いたが、

もう当たることはなかった。



「置いていくのか?」

アルテミアの問いに、僕は頷いた。

「うん。あの島に、魔物はいないし…いたとして、あの力があれば、余程の魔物でないと襲おうとは、思わないよ」

僕は島に背を向けると、魔物の大群の方へ旋回し、進路を決めた。

「相当な数だ!これ程の大群で、何をする気だ」


場所が分かれば、テレポートして先回りするが、予測できなかった。

「赤星!あたしに変われ!」

アルテミアの言葉に、僕は頷いた。

「モード・チェン…!?」

掛け声の途中で、僕は上空から攻撃を受けた。

先程の美奈子の銃弾とは、比べものにならないくらい威力がある攻撃を受けた。

一瞬で炎の翼が消え去り、足下に広がる海面に激突した。

数百メートルにも及ぶ水しぶきが上がり、海中に落ちた僕は、信じられない程のダメージを受けながら、沈んでいく。

(こんな馬鹿な…)

魔王レイの攻撃よりも、凄かった。

沈みながら、敵を僕は探した。

見えなかったが、敵の気を感じ、

僕は絶句した。
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