天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「どうして、どうしてなのですか!」

理由がわからないあたしは、お母様に詰め寄った。

城と離れをつなぐ渡り廊下にたくさんの花壇を置き、いろいろ花々を大切に育てているお母様は、

水をやりながら、あたしに諭すように言った。

「…あなたは、ライの力を色濃く受け継いでおります。ただ力を解放しただけで、魔神でさえ、あなたにはかなわないでしょう」

お母様は、花々の健康状態もチェックしていた。

虫に喰われたところを、手を触りながら、アルテミアの方に振り向いた。

「だけど、あなたには経験が足りません。ただ力を使い、破壊するだけの存在…」


「あら?それが、悪いのかしらねえ」

話の途中、空からマリーが降りて来た。

あたしとお母様の間に立ち、あたしをチラッと見た後、お母様を睨んだ。

「家畜の癖に、えらそうに!我等女神には、すべてを破壊する権利と力がある!家畜風情に、否定される筋合いはないわ!」


お母様は、マリーに頭を下げ、

「恐れながら、申し上げます。すべての魔物の頂点に立つ御方が、破壊だけの力でよろしいのでしょうか?」

「はあ?」

マリーは顔をしかめた。

次の瞬間、

氷の剣を持ったマリーと、お母様のライトニングソードが、火花を散らした。

「あんた!やる気なの!」

マリーは力付くで剣を押すが、ライトニングソードが刃に食い込んでいくだけだ。

「場所を変えて頂けるなら、お相手致しますが」

お母様の鋭い眼光が、マリーを怯ませる。



「お止め下さい。マリー様…そして、ティアナ様」

二人の間に割って入ったのは、水の騎士団長カイオウだった。


「カイオウ!邪魔するな!」

マリーの一喝にも、動じずに、カイオウは言葉を続けた。

「ここは、ライ様の居城!例え、お二人といえども、争うことはご法度のはずです」


「チッ」

カイオウの言葉に舌打ちしたマリーの後ろに、闇を纏ったラルがいつのまにか佇んでいた。

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