天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
2つの物体は、あたしの手の中で槍へと変化した。

チェンジ・ザ・ハート。



あたしはバンパイアとして、覚醒し、

天空の騎士団を率いるようになってから、髪の色も変わっていた。

お父様のような黒髪に、赤い瞳。

それが、今は…。

お母様と同じ青い瞳に、ブロンドの髪。

あたしは、人間にモード・チェンジしたのだ。



自由になったあたしは、早速壁に回し蹴りをしたが、びくともしない。

「痛っ!」

逆に、あたしの足が折れそうになった。

痛みよりその事実に、

あたしは驚いた。

ちょっと前まで、軽く砕けたはずだ。

「こんな脆い体が…人間?」

あたしは、痛みが残る足を擦りながら、壁を見つめた。

「お母様は…こんな体で、魔神やお父様と戦ったの?」

こんな体で…戦い、魔王であるお父様に、あと一歩まで迫り、

お姉様や騎士団長さえ倒したという。


「お母様!」

あたしは、まだ痛みの残る足で立ち上がった。

そして、壁を睨み、

「あたしは、お母様の娘!」

あたしは、槍タイプのチェンジ・ザ・ハートを握り締めると、目をつぶった。

(人間には…無限の可能性があると、お母様は言った!だったら!)

目を開けたあたしは、きりっと壁を睨みながら、叫んだ。

「モード・チェンジ!」



力がほしい。



あたしの体が変わる。

黒のボンテージ姿に、短髪。

筋肉質に変わったあたしは、正拳突きを壁にたたき込んだ。

ストロングモード。

あたしの格闘専門のモード・チェンジた。

一撃でヒビが入り、次の回し蹴りで壁に穴が開いた。

「一撃ではないか…」

だけど、脱出口は開いた。

あたしは、穴から飛び降りた。


しかし、あたしが閉じ込められていたのは、城の城門近くにある塔の真上。


勢いよく空に向かって、ジャンプしたあたしは、


人間が飛べないことを思い出した。

だけど、後の祭りだ。

あたしは落下していった。

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