天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
ライは、目を見開いた。

「お、お前!」

バイラの両手が、電流でスパークした。

「いずれは、この体はお前に吸収され、消える!ならば、その前に!」

玉座に座るライに向かって、バイラは飛んだ。

「一度くらいは、娘の為に!」

「愚かな!」

ライの瞳も輝いた。

「返して貰うぞ!娘の体を!」

電気の刃と化した手刀を、ライに向かって、突きだした。

「父親だと!魔王の分身が!」

ライは玉座から、立ち上がった。

圧倒的な魔力を感じながらも、バイラは前に出た。

「お前は、怖いのだ!愛する者をまた、失うことが!母親を手にかけ、愛するティアナさえ、守れなかった!だから、貴様は!」

バイラの手刀が、ライを貫く。

「もう失いたくないのだ!魔王でありながら、お前は…悲しみを背負ってしまった!」


「だから、どうした?」

ライは、バイラを睨んだ。


バイラの手刀は、確実にライの心臓を貫通いていた。

なのに…。

「クッ」

バイラは、顔をしかめた。

「憐れな…」

ライはバイラに向かって、フツと笑った。。

「これが…もしかしたら、我の結果だったのかもしれない」



「悪くない」

バイラは笑った。




「我は、魔王だ!」

ライの鋭い声が、空気を切り裂き、

バイラを切り裂いた。


「親ではないわ」


「フン…」

バイラの体が、分解されていく。原子レベルで。


「まあ…いい」

バイラは笑った。

ライを見ながら、

「お前は、ティアナを否定はできない」



そして、分離されていく残った左手を、ライに向けた。

「バイラブレイク!」

雷鳴が、炸裂した。


「だが…」

ライは目を瞑った。

「ティアナは…もういない」

呟くように言った。
< 1,243 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop