天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「美奈子さん」

僕は、美奈子に銃を返すと、言葉を続けた。

「多分…この銃は、変化しますよ」

チェンジ・ザ・ハートと材質も重みも違ったが、

形状を変えれるように思えた。

女神の力を集めたというからには、恐らく材質は魔力か気だ。

テラの力を凝縮しているなら、解放するだけでも、大きさは数倍になるはずだ。

(本人にあった力だから、美奈子さんが望めば…形を変えるはずだ)

美奈子が武器を望んだから…銃になった。


(だとしたら…)


僕は、美奈子の目を見て、

「あなたが飛びたいと思ったら、翼になりますよ」


「!?」

美奈子はその言葉に、目を丸くしたが…どこか納得していた。

僕は微笑み、

「先に行って下さい。明菜のもとに…。僕もすぐに、追います」



美奈子は、銃を握りしめると、目を瞑った。

頭の中で、何かを想像していた。

いや、

創造していたのだ。



美奈子が、銃を前に投げると、

それは光り輝き、巨大な翼に変わる。

「僕もすぐに、追いかけますので…」

どのようなものができたのか…確認しないで、背を向けた僕に、美奈子の声が飛んできた。


「お前も乗れ!」

その言葉に驚いた僕は、慌てて振り返り、

予想をこえた巨大な翼に、驚愕した。

いや、翼ではない。

小型偵察機だ。

但し…屋根はない。



「いくぞ」

僕の目の前で、浮かんだ物体に、改めて驚愕した。

「飛行艇になれる…武器か」



「早くしろ!」

「はい!」

頷き飛び乗った僕と、美奈子を乗せて、

飛行艇は、夜の海を疾走した。


僕はまだ…知らない。

そこに、過酷な運命が待っていることに…。

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