天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
巨大な木製の扉を、肩で押すようにして開けた九鬼は、

教会の中に入った。

聖なる空間と言われる礼拝堂も、

今夜は闇で包まれていた。

灯りがなく、真っ暗な空間に、目を凝らしていると、

突然灯りがついた。


左右の壁に、並んだ蝋燭に、一気に火がついたのだ。

その瞬間、構えた九鬼の前に、

乙女ピンクが立っていた。

かけている眼鏡のレンズが、蝋燭の灯りに反射していた。


九鬼は深呼吸をすると、腹から息を吐き出した。

そして、ゆっくりと右手を乙女ピンクに向かって差し出し、

指でかかってくるように威嚇した。


次の瞬間、九鬼な足下の床が破裂した。


乙女ピンクが持つマシンガンから、弾丸が放れたのだ。


何とか転がるように、弾を避けたが、

次々に放たれる銃弾が、九鬼に回避しかさせなかった。

「チッ」

回転し過ぎて、教会の壁にぶっかってしまう。

その前にジャンプし、壁を蹴り、角度を変え、

攻撃に転じようとした。

しかし、壁を蹴ろうとした瞬間、足首に激しい痛みが走り、九鬼は攻撃に移ることができなかった。

再び、後転の形で床を転がり、

弾丸を避けた。


その違和感のある九鬼の動きに、カルマはにやりと笑った。

マシンガンを手から消すと、今度は巨大なハンマーを召喚した。


「チッ」

九鬼は片膝を地面につけながら、舌打ちした。

その次の瞬間、九鬼は飛ぶように前転した。


九鬼のいた場所に、ハンマーが突き刺さると、教会の床を破壊した。

「テレポートか」

九鬼が構えようとするよりも速く、後ろに現れるカルマの攻撃を何とか…紙一重でかわしているが、

このままでは、いずれやられる。


九鬼は意を決して、立ち上がると、

目をつぶった。


そして、また後ろにテレポートしてきたカルマの動きを読み、

後ろに向かって、肩から飛び込むと、

ハンマーを振り上げているカルマの間合いに入った。

「は!」

気合いを入れ、痛む足を庇うことなく、

カルマの顎先に向かって、掌底を突き上げた。
< 1,464 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop