天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「あ、あの武器は…あなた様専用であり…。最低でも、レベル30はないと、人は装備することすらできません…。そんな物…まともな人間は、盗みませんよ。だから…」

「だから、何だ?」

男の首筋は、軽く傷だらけになっている。

「だ、から…うわさですけど…。狼男が持っていると」

「狼男?」

「はい。マシュマロ森の狼男」

「からくり義手のバイか…」

アルテミアは、そいつを知っているみたいだ。

「わかったわ。ありがとう」

アルテミアは剣を、投げ捨てた。

剣は、店のモットーが書いてある額縁に突き刺さった。

お客様第一とか書いてある額縁に。


「あんなのうそぱちよ」

アルテミアは、店を出ると、大きく背伸びをした。

「マシュマロ森なら、近いわね」

店前を歩く人々は、アルテミアを見ると、そそくさと早足で通り過ぎていく。

そんなことなど気にせず、アルテミアは上機嫌だ。

「ポイントがあるし、召喚するか」

アルテミアは、カードを胸元から取り出し、

カードの面にある数字を、打ち始める。

(パスワード・クリアー。召喚します)

いきなり、アルテミアの前の空間に穴が開き、

バイクが出現する。

バイクといっても、タイヤはない。

カードを、ハンドル中央に差し込むと、バイクは起動した。

アルテミアのレベルを感じて、

バイクが変形する。

「どうなってるの!?」

僕が驚くと、

「この世界の乗り物は、乗り手のレベルによって、性能が変わるのよ」

< 20 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop