天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ま、まずいよ…いきなり…こ、心の準備が…」

パニクる僕に、

明菜の期待外れの一言。


「ピアスしてるの?」

「あ…あ…」

目をつぶった僕を無視して、

顔から手を離すと、

今度は腕を掴み、

「指輪まで!」

明菜は、僕の腕を捨てるように離して、

「一体、どういうことなの!」

「え」

明菜の剣幕が理解できず、

驚き、

僕は目を見開いた。

明菜は腕を組ながら、

僕を睨んでいた。

「あたしが、部活で忙しくしてる間に…いつの間に!」

「な、何のことだよ」

訳が分からない僕に、

「浮気者!」

明菜は、鞄を投げつけた。

「え!」

鞄は、僕の顔面にヒットした。

「浮気者って…僕が、何をしたんだよ」

興奮気味の明菜は、

ピアスと指輪を指差し、

「だったら…これは何よ!」

こんな恐ろしい…

顔をした明菜を、僕は見たことがない。

鬼だ。

「こ、これは…」

僕は指輪を見つめ、

「こ、これは…」

説明しょうがない。

戸惑い、口ごもってしまう。

「女に、貰ったんでしょ」

「え!」

貰ったと言われたら…

貰ったんだけど…。

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