天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
生きていく意味
「ここは…」

意識の戻った僕は、またベットの中にいた。

「気づいた?」

僕を上から、覗きながら、紅は微笑んだ。

「あたしの家よ。心配しないで」

「みんなは…」

「2人は隣の部屋で、休んでいるわ」

「2人…?」

紅は視線を少し、僕から外し、

「女神だけは…まだ。でも、彼女なら大丈夫よ」

紅は僕の前に、コーヒーの入ったカップを置いた。

「ありがとうございます」

僕は、カップを手に取ると、一口啜った。

「どうして…あなたは、強いのに…いつも迷うのかしら?」

紅は、僕の顔を覗き込みながら、首を傾げた。

僕と同じ日本人だと思うけど…ハーフのように、顔の掘りが深い。

それに、身に付けてる赤のワンピースが、たまらなく似合っていた。

質問の意味もわからず、ただ僕は、しどろもどろになる。

「あっ…そのお」

「女神は強いけど…弱いわ」

紅は、僕の目を見つめ、

「あなたは、強いわ。意志を強く持って」

言葉の意味はわからなかったが、僕は紅の瞳の中を見つめながら、意味を探した。

突然、

法螺貝の響きが、家を震わし、地響きが世界を震わした。

「来たわ」

紅は、慌てて部屋を出ようとする。

「待って下さい!」

僕は、紅を止めた。

紅は、足を止めた。

僕は唾を呑み込むと、

「あの時…あなたが歌った曲は…」





< 445 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop