天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
急いで、信長に駆け寄ろうとする蘭丸に、炎の蛇が纏わりつく。

「1つだけ、教えてやろう。お前が、融合したマリーとネーナの魔力は殺す前に、もう殆ど奪い取っていた」

アルテミアは、ゆっくりと蘭丸に近づく。

「お前は、残りカスと手を結んだのだ」


「ライ!」

憎々しく、アルテミアを睨む蘭丸。

身を縛る炎の蛇は、砂自体を焼き尽くす。

「馬鹿なやつよ…折角、鳥かごの中で、ぬくぬくと暮らせたものを」

アルテミアの手が、電気を帯びる。

「ハハハ!鳥かごも!お前の思ってるようにはならないぞ」

蘭丸の馬鹿にした笑いを、ライは逆に、鼻で笑った。

「それも、計算の内だ」

アルテミアが、手をかざすと、炎の蛇に縛られた蘭丸の体が、

電子レンジに入れられたアルミのように、火花を散らす。

「さらばだ」

広間一面に、蝙蝠の羽を広げたアルテミアは、飛び立とうとする。

「待て…」

蘭丸は、最後の力を振り絞って、口を動かす。

「バ…ヴァンパイア・キラーは…」

浮いた形で、動きを止めたアルテミアは、ゆっくりと

目を瞑ったまま、顔を下に向け、

「妻の友人であったお前に…冥途の土産として、教えよう」




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