天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
ロバートは昔、クラークの弟子だった。

「覚えていたのか…」

クラークも、ロバートを見た。

「無理やりのモード・チェンジみたいなもの…とも、言ってたな」


(魔獣因子…)

先ほどから、一歩引いた目で、様子を見ていた西園寺は、その言葉が引っ掛かった。



「貴様ああ!」

新しく生えた腕の長い爪で突き刺そうと、神流がロバートに突進してきた。

「しかし、発動には…個人差があるようだな」

ロバートはそう言うと、神流の体が、球状の結界に包まれた。

「うるさい小娘だ」

肩をすくめたロバートの首筋に、次元刀が差し込まれた。

「あまり調子に乗るな」

押し殺したクラークの声に、ロバートは鼻で笑った。

「俺を殺してもいいが…あんたの手駒が、減ることになるぜ」

クラークは、目だけで周りの状況を確認した。

神流だけでなく、松永や正志…西園寺や舞子まで、球状の結界に包まれていた。

クラークは歯軋りをすると、ロバートにきいた。

「望みはないんだ?」

ロバートは、クラークに笑顔を向け、

「ブラックカードが一枚、残ってるはずだ。ジャステンさんのが」

「な…き、貴様…」

ロバートの首筋に、差し込まれた次元刀が震えた。

「別に、安定者になろうという訳じゃない。これからの戦いに、必要なんでね」

クラークは、何も応えず…ただロバートを睨んでいた。

ロバートは呆れたように、ため息をついた。

「別に、ここでさ…いっぺんに五枚、貰ってもいいんだけど」

「何でも、思い通りになると思うな!」

クラークは一気に、次元刀を振り払った。


しかし、ロバートは風より早く、ブリッジするように上半身を反らすと、次元刀を避けた。
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