天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「クラーク…。俺と今のあんたでは、戦いの勘が違う」


ロバートは、上半身を反りながらも、右手を振り上げた。


クラークの胸から、鮮血が噴き出した。

「何!?」

クラークには、自分に起こったことが信じられなかった。

ロバートは一回転に、体勢を立て直した。

その腕には…。

「ドラゴンキラー…」

クラークは、ロバートの腕に光るドラゴンキラーを確認した。


「やっぱ…ただでくれるわけがないか」

そう言うと、ロバートはにやりと笑った。

「先に、盗っといてよかった」

ロバートの左手に、ブラックカードが握られていた。

「いつのまに」

クラークは、唖然とした。

ロバートは、ひらひらと団扇のようにカードで煽ると、

「さっきの生意気な小娘から、戴いた」

「え?」

結界の中で、神流はブラックカードを探したが…どこにもなかった。

「本当は…その剣も、いただきたかったが…」

ロバートは、クラークに敬礼すると、

「またお会いしましょう」

その場から消えた。



「逃げ足も、速くなったか」

クラークは剣を下ろし、苦笑した。なぜか、あまり怒りを感じなかった。

胸の傷を確認すると、皮が切られたくらいで、傷は浅い。

ロバートが消えた後、結界も消えた。

解放された神流は、怒り狂った。

「あああたしのカードを!あの野郎う…殺してやる」


神流の生えた腕だけでなく、全身が逆立っていた。

殺気という魔力を周りに、放出する神流に、西園寺たちの全身に鳥肌が走った。

「落ち着き!カードならある」

クラークが、神流を指差すと、神流の手にブラックカードが召喚された。

すると、ブラックカードが光り……癒しの光りを放つと、神流の全身を包み…神流の苛立ちを抑えた。

「そうよね…まあ、いいわ」

簡単に、怒りをおさめた神流より、

西園寺は、クラークを後ろから見つめていた。


(魔獣因子…とは、一体?)

西園寺は、自分では答えの出ないものを探していた。

多分、それが…自分達が、この世界に呼ばれた…理由かもしれないから。

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