天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
短髪で、彫りの深い顔に、窪んだ目の中の黒い瞳が、鋭い。

「我々が、障壁内に入ります。このまま、ただ守るだけでは、魔力を浪費するだけです」

「しかし…」

渋る司令官に、

短髪の右隣にいた女が立ち上がり、一歩前に出た。

「司令…」

腰まであるエメラルドグリーンの髪が、いきなり吹いた突風に靡く。

「サーシャ…。控えろ」

短髪の言葉を無視して、

「我々ブラック・サイレンスは、この守備隊を守る為に、存在しております」

短髪の左にいた長髪の男も、立ち上がる。

「我々は、レベル60以上!――それに…」

残りの27人も立ち上がる。

その手には…。

「我々は、もともとはドラゴンハンター」

ドラゴンキラーが、装備されていた。

障壁の向こうで、ドラゴンが放つ雷撃の光に、

鋭利なドラゴンキラーの刃先が、呼応したかのように光る。

「お前達…」

短髪はフッと笑うと、立ち上がった。

「轟隊長…」

戸惑う司令官の前で、轟は肩からかけていたワインレッドのマントを、外した。

それに呼応して、他のメンバーもマントを外す。

轟以外は、全員黒い鎧を身につけていた。

そして、全員の右肩につけれた肩当てには、

黙の一文字が。


「ブラック・サイレンス!出陣!」
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