天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「クッ…止めれなかった…」

西園寺は、後ろの壁に頭を打ち付けた。


(多分…行かしては、いけなかった…)


後悔の念にかられ、連れ戻そうかと思った瞬間、ブラックカードが鳴った。

「どうした?」

ブラックカードは、通信機のような機能もあった。

「魔王の部隊が、こちらに向かっていると、偵察にでていた式神から、連絡がありました」

通信は、本部の指令室からだった。

「わかった…。敵の数は?」

「およそ、二千!魔神クラスはいません」

「わかった…」

西園寺は、目をつぶり…

「俺が出よう。防衛ラインの部隊には、下がらせろ!ここを、魔神もよこさずに、二千くらいで落とすつもりか!舐められたものだ」

西園寺は、ブラックカードを見つめた。

もともと安定者とは、謎の存在であり…表に出ることは、少なかった。

その為、新参者であるはずの西園寺達も、クラークとともにいることで違和感なく、安定者の立場になることができた。


「よく考えろ…」

西園寺は、自分に呟いた。

「これは、好機だろうが…」

ブラックカードを握り締め、

「この世界を手にする…足かがりとして…またとない好機!」

かっと目を見開くと、

「安定者が、俺一人になればな!」


西園寺は、テレポートした。

一瞬にして、本部から離れ、魔物の大群の前に、1人立つ。

「その前に、示さなければならない!力を!」


目の前にいるゴブリンや、ドラゴン…キマイラ達。

「人々を導く者は、俺1人だということを、示さなければならない!」

そう叫んだ西園寺の首筋の傷が、少し光ったことに気付く者は、誰もいかなかった。

それは、本人さえも…。

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