天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「ここは…どこなのかしら?」

暗くどこまでも暗く…広い空間に、レイラはいた。

自分でもどうやってきたのか…わからないが、

レイラは、ここにいた。

確か…先程寝室に入ったはずだが…。

今は、まったく知らない場所にいた。

しかし、レイラは知っていた。


なぜか、あまり動いてはいけないような気がしていた。

ここにあるのは、とても大切なもので、誤って壊してはいけないと…。

用心深くと周りを見回していると、

「先輩…」

後ろから、声がした。

慌てて振り返った。

まったく気配を感じなかった。

振り返った先に、1人の男が立っていた。

無防備で、笑顔の男。

「ジャスティン!?」

そう自分で、言葉にした後、レイラは思った。

(誰?)




「レイラ様!レイラ様!」

ドアの向こうから、何度も名前を呼ぶ声と、ノックの音に、レイラは目覚めた。

大理石で囲まれた部屋の中央にあるベットに、レイラは横になっていた。

「なんだ?」

レイラがこたえると、静かにドアが開き、蛙男が顔を出した。

「お時間です。王が、お待ちになっておられます」

「わかりました」

ベットから起き上がると、そのまま…レイラは、ドアに向かって歩く。

部屋を出ると、バイラ、ギラ、サラが控えていた。

ちらっと三人を見ると、頷き、レイラは歩き出す。

その後ろを、三人が続く。

先頭は蛙男だ。




王の間……そこにライはいた。

ライは、無表情にレイラに向かって、手を差し出した。

二人の間に会話はない。


ただ無言の中で、ライの気がレイラに注ぎ込まれていく。

心臓がないレイラの体は、ライの魔力によって、動くことができるのだ。


自分がなぜ…このような形で生かされているのかは、わからなかった。

バイラ、ギラ、サラや他の魔物達の自分を見る…救いを求めるような目に、

レイラは…今は、このような形でも生きることを、決めていた。



(反逆の女神アルテミアと…赤星浩一を倒すまでは…)

それが、どのような意味を持っているのか。

レイラには、理解できるはずもなかった。
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