天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「成功のようだな…」

西園寺は、実験室に背を向けた。

「後は、実戦でどうなるかだ」

「最後まで、見ていかないのですか?」

マリアは、西園寺の背中に声をかけた。

「ああ…君達を信用している」

西園寺は、通路を歩くと、研究室中の職員が立ち上がった。

その瞳は、赤く光っていた。

頭を下げたマリアは、ゆっくりと顔を上げ、

髪をかきあげた。

髪で隠れていた耳の裏側に、小さな2つの傷があった。


研究室を出た西園寺は、ブラックカードを見つめ、フンと鼻を鳴らした。

「呪い?そんなものが、俺に通用するか」

西園寺はカードをしまうと、ゆっくりと歩き出した。


「俺は、魔王やアルテミアと同じ…バンパイア」

西園寺の目が、一瞬…赤く染まる。

「バンパイア因子を持つ者。つまり、魔王になれる力を持っている」

西園寺の目の色は、すぐにもとに戻った。

すれ違う兵士達が立ち止まり、敬礼する。

西園寺は、敬礼の道を歩く。

(先輩…。あんたが、もたもたやっている間に、俺はすべてを手に入れてみせる)

西園寺は心の中で、ほくそ笑んだ。

(力も…名誉も…すべてを!そして…)

西園寺は、目をつぶった。

(アルテミアもだ)

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