天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
憂鬱な戦い
明くる日、集まった総勢二万人の戦士に、十万の防衛軍。

しかし、それを倍する魔物の群れ。ゴブリンや、ドラゴンなど神レベルは、いないが……数を考えたら、安易な戦いにはならなかった。

その群れは、入り口にいるに過ぎない。


魔王の住む城は、果てしなく遠い。

それに、これは……もう勝てない戦いだった。

人類を指揮する上の者が、魔王に通じているのだから。


人の為……いや、そんな大層な名目ではなく、愛する人…身近な仲間の為、戦える人々は、ここに集まっていた。

魔物に襲われない日々を、自分の子供や妻や友達に、与える為に、自分の命を投げ売って。

「いくぞ!」

その最初の号令は、防衛軍からではなく、一般の戦士から放たれた。

剣を抜く者、カードにより、魔力を使う者。ミサイルなどを召喚する者。

「たたき込め!」

朝焼け中、魔界といわれる魔物のテリトリーに向けて、数百発のミサイルが、発射された。

と同時に、剣士が鞘から一斉に、剣を抜いた。

魔界と世界を遮っているのは、小さな川だけだ。

深くもなく、膝上までしかない。

それでも、少しは足を取られる人々の水しぶきが、そこら中で上がる。

それを狙ってか、上空から翼竜の群れが、襲い掛かってくる。

剣で迎え打とうとした剣士達が、次々に嘴にくわえられ、また上昇すると、

人々の頭上向けて、落とされる。

しかし、そんなことで、パニックになる者は、いない。

「召喚!」

フライングアーマーをつけた戦士が、空中に浮かび、翼竜の群れに、ミサイルを発射する。

空中に、火花が散る。


川を渡り終えた人々に、ゴブリンの群れが、棍棒を振りかざし、向かっている瞬間、

ゴブリンの群れが、吹き飛んだ。

ジェシカが仕掛けた地雷が、爆発したのだ。

いきなり、出鼻を砕かれて、パニックになるゴブリンの群れに、人々が突進する。

剣を突き立て、光の槍が、ゴブリンを襲う。


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