天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
マリーの手に、氷でできた長細い長剣が出現する。

その長剣の先が、カイオウの首筋に突きつけられた。

「あたしが、あの子に負けると」

「いえ…違います」

マリーは、剣を横凪に払った。

すると、カイオウの鎧の右の肩当てが、切り取られた。

「いえ。違います…それは、私のことです」

マリーは、目を見開いた。

「そうだったな」

肩当てがなくなった右肩を、マリーは見つめると…長剣は蒸発した。


ダイヤモンドよりも固い屈強な体躯に、消えようのないほどの深い傷跡が…残っていた。

「この傷は…天空の女神の母親…ティアナにつけられたものです」

魔族の中でも、最高位にいる7人の騎士団長の1人…カイオウ。

そのカイオウを、全く寄せ付けないほどの強さだったという…アルテミアの母、ティアナ。

マリーは、カイオウに背を向けると、

「あたしは、お前とは違う」

そう言うと、黒い蝙蝠の羽を広げると、

ビルの屋上から、飛び立った。

どこに向かうでもなく。
< 89 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop