天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
千秋が、首を激しく振って、何とか思考を止めようとしている後ろに、

ビルから飛び降りて来た宮嶋が、口の周りを真っ赤にしながら、着地した。

千秋は振り返り、宮嶋の顔を見て、顔をしかめた。

宮嶋は、自分の腕で血を拭いながら、千秋を追い越していく。



山根は振り返ることはしなかったが、

宮嶋の様子も、千秋の感情も理解していた。


(…所詮……人は、人でなくなっても、人なのか?)

化け物になり、人を排除する存在になりながら、

悩み姿…狂う姿は、人として認識できる。


(我々は……人でなくなっても………)

山根は…自分の頭が、導こうとしたこたえを思い浮べる前に、思考を停止した。

彼らは、人ではいけないのだから。


< 958 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop