天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
数分後…神野は自ら立ち上がると、大きく深呼吸をして、右手に握った次元刀を、横凪ぎに一振りした。

衝撃波が、空気を切り裂く。

その鋭さを確認した後、神野は明菜の方を見た。


「今の女には、次元刀が通じなかった…。あの女は、何者だ?」

神野の問いに、明菜はこたえた。

「彼女は…リンネ。異世界の魔神…。向こうの世界で…魔王に次ぐ者です」

「なるほど…」

神野は頷くと、明菜に近づき、次元刀を明菜の中におさめた。

「彼女が本気になれば…この国くらいは…滅ぼせます」

明菜の真剣な瞳に、神野は考え込んだ。

「だとしたら…それ程の者が、どうして…沙知絵といるんだ……?」

「わかりません…。最初に会った時は……あたしの剣で、時空を越えれるから…やつらに、渡ることを懸念してましたけど…」


神野のしばらく黙り込み…おもむろに口を開いた。

「やつらとは…」

「多分…」

明菜が言葉にする前に、神野の自分の右腕を触り、

「こいつらか」



明菜は頷いた。


「だったら…どうして…」


二人が考え込んだ時、


二人に駆け寄ってくる人物がいた。

はっとして、神野と明菜が構えるが……。




「どうした?何かあったのか?」

近づいてきたのは、中山美奈子だった。

「部長……」

明菜が緊張を解くと、神野は逆に…美奈子を凝視した。

「もう一人に……電話…」

それは、明らかに……美奈子のことだろう。

(知ってる者から、電話が入るのか……それとも……)

ここで、神野も明菜も勘違いをしてしまった。

リンネの言うように、電話は入ることになる。しかし、それは…用がある人物に直接かかることでは、なかった。



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