ノラ猫
あたしのあの部屋は2階。
だからそう簡単には逃げ出せないと思って、窓はいつも無防備だった。
部屋のドアばかりが監視され、
あたしが許される外出はトイレとお風呂のみ。
だけど窓からは、いつだって外に出ることができた。
2階で、そう簡単には抜け出せないけど
1メートルほど離れたところには、大きなくぬぎの木がある。
必死に手を伸ばせば届かなくもない距離で、昔もここから抜け出していた。
手のひらに擦り傷を作りながら、なんとか木にしがみつく。
暗くなった闇が、あたしの姿を隠してくれて、無事に地上へ降りることができた。
見上げた部屋。
今度こそ、ここに戻ってきてはいけない。
誰かを頼ったり
一つの場所へとどまるからいけないんだ。
もう誰にも頼らない。
飼い主なんか見つけない。
あたしが生きる術は
独りでいること。