ノラ猫
ようやく見つけた、一人の女の子。
大事な……
かけがえのない女の子。
凛は膝を立てて座っていて、そこに顔を隠すように俯いていた。
まだ俺の存在には気づいていなく、そんな凛に一歩ずつ近づいていく。
10日足らずの日々なのに
もう何年も会っていなかったような感覚。
逢いたくて…
触れたくて……
やっと君を見つけた。
「凛……」
「……」
俺の声に反応して
ゆっくりと上げられた顔。
だけど上げられたその瞳は
また以前のような冷たい瞳へと変わっていた。