ノラ猫
 
明日もそんな日になって
いつか本当に、「幸せ」という意味が分かって……。


声を出して笑う日も
感情をむき出しにして怒鳴る日も
恋しくなって寂しいと泣く日も来るかもしれない。


きっとそれは、智紀の隣で……。



彼の傍にいたい。

いつからかそう思えるようになった自分。


そして「愛」の意味を知る。

そんな日が必ず来ると……


信じていた。





「………凛…」





その声を聞くまでは……。


誰かに名前を呼ばれ、
その声の主へと振り返る。


姿を捉えた瞬間、
痛いほど心臓が大きく飛び跳ねた。
 
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